薬事法では医薬品の中でも処方箋医薬品と非処方箋医薬品について詳しく取り扱いを定めています。医薬品を取り扱う際には薬事法に従って適切な対応をしなければなりません。この記事では平成17年4月に定められた処方箋医薬品に関連する薬事法の規定について解説します。
規定されている内容の細かいところまで見ていきましょう。
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薬事法では第49条に処方箋医薬品について定めています。処方箋医薬品とは、医師等から処方箋を交付された人が購入できる医療用医薬品です。ドラッグストアなどで販売されている第1類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品は処方箋がなくてもセルフケア用の医薬品として購入できるもので、薬事法で定める処方箋医薬品には該当しません。
処方箋医薬品は治療に使用できる有効血中濃度の範囲が狭く、医師や薬剤師が適切な管理をしながら投与しなければならないものがほとんどです。そのため、処方箋医薬品の販売については薬事法で厳しく定めています。
処方箋医薬品については、病院、診療所、薬局などへは原則として自由に販売することができますが、一般の人に対しては処方箋がない限りは販売や投与をしてはなりません。医師等から処方箋を交付してもらった人にだけ販売することが可能です。
ただし、薬剤師や医師、薬局開設者や医薬品製造販売業者のように例外はあります。
医学や薬学について十分な知識があり、処方箋医薬品の適正利用ができると認められる人に対しては例外的に処方箋がなくても処方箋医薬品を販売することが可能です。
正当な理由がない状況で処方箋医薬品を処方箋を持たない人に販売した場合にはペナルティがあります。薬事法の第84条に罰則が定められていて、違反した場合には3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。
このような厳しいペナルティを設けることによって、医療用医薬品の適正使用をおこなえる状況を整えています。
薬事法には非処方箋医薬品についての規定も設けています。非処方箋医薬品とは処方箋医薬品に該当しない医療用医薬品を指します。非処方箋医薬品は医師等によって交付された処方箋がなくても調剤薬局などで販売することができる医薬品と言い換えることも可能です。
ただし、セルフケアのための医薬品とは異なり、医師や薬剤師、看護師などによって患者に投与されることを目的として製造されています。そのため、気軽に購入できるセルフケアのための医薬品とは別の取り扱いを受けているのが非処方箋医薬品の特徴です。
非処方箋医薬品も処方箋の交付を受けた人に販売するのが原則になっています。ただし、処方箋医薬品とは違って販売したらペナルティになるということはありません。セルフケアに用いられる一般用医薬品による販売で対応を考慮したものの、さまざまな事情によってやむを得ず販売せざるを得ないという状況になったときに、処方箋なしでも販売することが認められているのが非処方箋医薬品です。
ただし、必要最小限の数量しか販売できない、販売管理や薬歴管理が必要、調剤室での保管や分割作業などの対応が要求されています。調剤薬局で患者に対面で販売することも求められているため、処方箋医薬品と同じくらい厳密に管理が必要とされる医療用医薬品です。
処方箋医薬品の販売が認められる例外的なケースがあります。薬事法第49条では「正当な理由」がない限りは処方箋を持っていない人に販売してはならないと定めています。正当な理由がある場合には処方箋医薬品の販売をしても問題はありません。
例えば、災害が発生して医師を受診して処方箋の交付を受けるのが困難な状況では処方箋医薬品を販売できます。また、救急救命士による救急救命処置、助産師による臨時の応急手当、市町村が実施する予防接種や医薬品の備蓄などについても例外として認められています。
医学や薬学などについての教育研究を目的として、教育期間に必要な処方箋医薬品を供給するときにも処方箋は必要ありません。他にも処方箋医薬品を販売できるケースがありますが、基本的には公的な立場で考えたときにやむを得ないときやメリットがあるときに限られます。
非処方箋医薬品については処方箋医薬品とは違い、患者が希望すれば処方箋なしで購入することが可能です。しかし、一般用医薬品とは違って管理の必要性が高い医療用医薬品なので、むやみやたらに購入や投与をするのにはリスクがあるのは明らかでしょう。
そのため、非処方箋医薬品については広告についての禁止事項が定められています。
患者が自分自身で判断して選ぶということがないように、非処方箋医薬品については消費者に対する広告が禁止されています。処方箋医薬品も一般向けの広告が禁止されていますが、非処方箋医薬品も例外ではありません。ただし、医療従事者や病院などに対して広告をすることは問題はありません。
医薬品情報を提供してより良い医薬品を選択して処方や投与をするのは医師や医療機関にとって重要だからです。テレビCMなどでの広告活動は禁止されていますが、医療機関にパンフレットを出して広告活動をすることは問題ありません。
処方箋医薬品を患者に販売するときには、薬剤師は服薬指導をしなければなりません。医薬品の適正使用をするために詳しく説明をして、正しく服用してもらえるようにする義務を負っています。非処方箋医薬品についても同様で、薬剤師は販売のタイミングで適切な服薬指導をしなければなりません。
セルフケアのための一般用医薬品の場合には努力義務とされている場合が多いですが、医療用医薬品については処方箋の有無にかかわらず、服薬指導を行うことは義務です。非処方箋医薬品は処方箋なしでも出せるからと一般用医薬品と誤解してしまい、服薬指導を怠ると、薬剤師としての義務違反になるので注意しましょう。
薬事法では処方箋医薬品と非処方箋医薬品を明確に定めて、それぞれの取り扱い方を示しています。処方箋がなくても正当な理由があれば処方箋医薬品を処方箋なしで販売・投与することができますが、基本的には処方箋に基づいて販売すると考えた方が良いでしょう。
非処方箋医薬品については一般用医薬品とは違うことを理解し、厳密な管理をして販売するのが大切です。